大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1921号 判決 1949年5月14日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人片山圭吾辯護人津川友一の上告趣意について。

刑法第四二條第一項の「未タ官ニ発覺セサル前」とは犯罪の事実が全く官に発覺しない場合は勿論犯罪の事実は発覺していても犯人の何人たるかが発覺していない場合をも包含するのであるが犯罪事実及び犯人の何人なるかが官に判明しているが犯人の所在だけが判明しない場合を包含しないものと解すべきである。

本件において原審の確定したところによると被告人は本件犯行の翌々日即ち昭和二一年五月一〇日木村某をたのんで共に高田警察署に出頭した形跡はあるがそれより前既に司法警察官に本件犯行及び犯人が被告人等なることが発覺していたというのであるから原審が被告人の自首を認めなかったのは正當で論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴施行法第二條舊刑訴第四四六條によって主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例